2019 年 75 巻 2 号 p. I_545-I_550
日本海沿岸の砂浜の保全・再生上,重要となる典型的な3種の小型底生甲殻類,即ち,ナミノリソコエビ,ヒメスナホリムシ及びヒゲナガハマトビムシの分布域は土砂内部の水分張力を表すサクションによって制御されていることが明らかになっている.このような背景から,本研究では,上述の3種の底生生物を対象とし,高波イベントに伴う砂浜地形の顕著な変化による生物生息分布の変化とその要因に対するメカニズムを地盤環境適合場の観点から明らかにすることを目的として現地調査を行った.その結果,当該生物の生息分布変化とサクションで表す地盤環境適合場の間には密接な関係があり,各底生生物の固有のサクション適合場に従って岸沖生物分布変化が発現していることを明らかにした.