2019 年 75 巻 2 号 p. I_671-I_676
地形変化や砂移動に関する実験的研究では,所定の時間,波を作用させることで,初期地形からの変化の過程やその量について分析を行うのが一般的である.しかし,その地形変化を移動する砂の追跡とともに詳細に把握した実験的研究は少なく,砂移動については,地形形成に至るまでの砂移動プロセスが十分に把握されているとは言い難い.本研究では,地形変化と砂移動の同時計測を実施し,波作用開始後数波以内の地形変化初期段階における詳細な砂移動追跡を行うことで,初期地形からの極めて短期間の地形変化過程における砂移動過程の把握を試みた.その結果,着色砂被覆率から作用波1波ごとの砂移動を把握するとともに,水路床表面下での着色砂混入を確認することで,被覆率では着色砂の輸送が確認されなかった地点においても着色砂の到達を確認することができ,地形計測だけでは把握することが困難な砂移動経路や移動到達範囲を把握することができた.