2019 年 75 巻 2 号 p. I_965-I_970
東日本大震災により東北地方の水産業が壊滅的な被害を受け,国内有数の水産物供給基地である三陸地域の生産・流通が一定期間滞った.水産業は関係する業務分野が多く調査対象範囲が広いことから,復旧過程やその分析,早期復旧にむけた課題などの知見の蓄積が進んでいない.このため, 東日本大震災時の岩手県の大船渡地域において,魚市場を中心とした水産物の生産・流通の復旧過程を調査・分析した結果,水産業の早期再開に有効な対策として「①魚市場,水産加工場等へ流入した土砂や損傷した機器類の撤去作業に必要なフォークリフトなど機械類の事前配備又は被災後の入手経路の検討,②腐敗した水産物の迅速な処理体制の構築,③パソコン等に保存している債権債務等のデータのクラウド化などバックアップ体制の構築」などが示唆された.