2020 年 76 巻 2 号 p. I_258-I_263
波の入射方向が季節的に変動する海岸に護岸(緩傾斜護岸)が造られた場合起こる護岸周辺での地形変化に着目し,まず九十九里浜に位置する堀川浜と新島の羽伏浦海岸を対象に実態を明らかにし,次にBGモデル(Bagnold概念に基づく3次元海浜変形予測モデル)を用いて波向変動場における護岸周辺の地形変化解析を行った.この結果,護岸によりその背後は防護されるものの,その両側で浜崖侵食が進むこと,また浜崖侵食により供給された砂は護岸沖へと運ばれることが明らかになった.長い直線状海岸のある部分にのみ護岸を造ることは沖向き漂砂を助長するのでできるだけ避ける必要がある.