2020 年 76 巻 2 号 p. I_570-I_575
東京湾沿岸は高潮に対して脆弱であるため,内地への海水の浸入を防ぐために東京都では沿岸部に外郭防潮堤を整備している.従来,防潮堤天端高の妥当性については,複数の研究者によってモデル台風に基づく数値解析的な検討が行われ,天端高不足が指摘されている.本研究では,外郭防潮堤を対象にして,過去の気象・海象に関わる統計データの経年変化傾向を基に防潮堤天端高の妥当性を確認した.また,既存防潮堤の現地視察により天端高不足に対する改築方法を考察した.そして,改築にあたっては,嵩上げが妥当であることを提示し,平常時の景観に配慮した嵩上げ改築上の留意点を指摘した.