2021 年 77 巻 2 号 p. I_109-I_114
上部工を有する傾斜堤の港内側被覆ブロックの耐津波特性に着目した水理模型実験および流体解析をおこなった.3段階に潮位を設定し,津波が堤体を越流および浸透する通常の実験ケースに加えて,越流のみを発生させたケースおよび浸透流のみを発生させたケースも実施した.
その結果,潮位が高い場合は水面近傍の被覆ブロックがわずかに被災するのみであったが,潮位が低い場合は被災位置が下側にずれるとともにその程度も大きくなった.また,浸透流を作用させない場合は被災時の越流水深が深くなった.越流量と浸透流量の和がブロックの安定性に寄与していること,ブロック底面で動水圧の上昇が,表面で落水に伴う負圧が発生し,浸透力と法先方向流速が大きくなると被災すること,潮位や落水位置が負圧や高流速の発生に影響を及ぼすことが分かった.