2021 年 77 巻 2 号 p. I_211-I_216
本邦で開発された新技術である回転圧入工法による控え杭式鋼管矢板岸壁構造がダカール港の無償事業で採用された.本構造は国内での実績がなく,岩地盤でも十分に信頼性の高い技術であると判断してODA無償事業で導入した.本構造の導入にあたっては,専門家による技術検討委員会を立ち上げ,技術的課題を検討した.検討の結果,回転圧入工法であれば岩地盤でも打設可能との判断に至り,採用に至った.本事業での導入にあたり,相手国の要望に合わせて構造細目をカスタムメイドした.我が国の高い技術力を相手国に体感してもらうことにより,「質の高いインフラの海外展開」の具現化につながると考えられる.本稿では,国内実績のない本邦新技術をODA無償事業で導入するための基本手順を整理し,そのメリットと留意点を論じた.