2021 年 77 巻 2 号 p. I_37-I_42
防波扉は折りたたみ式の可動式津波低減設備で,津波発生時に自動的に起立して波の浸入を防ぐ.本研究では,防波扉の実用化に必要とされる条件を,水理模型実験と数値解析の両面から検討した.OpenFOAMを用いて数値解析モデルを構築し,津波低減効果の評価を行った.波高計測値のみで防波扉の性能を評価する手法は,堤体の正味の津波低減効果を正当に評価できておらず不適切であった.一方,通過水量データでの評価は,堤体の津波低減効果を最も適正に評価しており,防波扉の津波低減効率は7割以上を示した.防波扉の強度分析では,ヤング率が大きい木材の場合,防波扉を強度面で安全に運用できると判断した.検討結果を踏まえて,防波扉は津波対策防災設備として実用性が認められると判断し,防波扉の現場設置モデルを提案した.