2021 年 77 巻 2 号 p. I_427-I_432
昨今,国土強靭化の重要性が認識され,港湾構造物等に粘り強さを持たせるための検討が行われている.本研究では,浚渫土と製鋼スラグを混合したカルシア改質土に粘り強さを付加した新しい地盤材料の検討を行った.まず,三軸圧縮試験により,拘束圧や製鋼スラグの粒径・混合率が強度や粘り強さに与える影響について整理し,製鋼スラグの細粒分はピーク強度に,粗粒分はピーク後の粘り強さに寄与することを示した.また,高強度と粘り強さの双方を得るには,製鋼スラグの混合量が大きい方が有利となる結果が示されたが,浚渫土の有効活用の観点からは好ましいとは言えない.そこで,一般的なカルシア改質土における製鋼スラグ混合率と同等の範囲で,中間粒度を除いた製鋼スラグと浚渫土の配合を提案し,目標性能が確保できることを示した.