2021 年 77 巻 2 号 p. I_637-I_642
気中もしくは没水状態の矩形ケーソンおよび円柱スパー型洋上風車を起重機船で揚重施工する際,波浪によって生じる船および吊荷の動揺特性を把握するための水理模型実験を実施した.吊荷気中時では,特定の波周期に対して吊荷の並進運動が大きくなる共振が見られ,施工が危険となる波浪条件を確認できた.異なる2つの波向に対する動揺量の比較からは,斜め方向の入射波によって横方向の動揺量が誘起される現象を確認し,施工中の波向急変に伴う動揺特性の変化を評価した.円柱吊荷没水時においては,吊荷のYawが卓越するなど激しい動揺が観測され,洋上風車本体とスパー型浮体の連結施工時,急激な動揺量増大リスクのあることが示唆された.また,多方向不規則波実験では単一方向不規則波よりも横方向の動揺量が大きくなることが確認された.