2021 年 77 巻 2 号 p. I_799-I_804
三浦半島西岸に位置する逗子海岸は,南端にある葉山港による波の遮蔽域に含まれているため,遮蔽域の外から内へ向かう沿岸漂砂が誘起され,南部では堆砂が進んでいる.その際,沿岸漂砂の一部が透過性導流堤の隙間を通して田越川河口内へと直接流れ込み,河口内堆砂量の増大を招いて河口閉塞の原因となっている.対策として河口内堆砂を浚渫し,海岸北端へ運ぶサンドリサイクルが行われてきたが,河口のため浚渫に手間がかかる上,浚渫土砂には礫や流木が混入することから北部での養浜にはそのまま使えない.サンドリサイクルの維持コストを下げるには,導流堤の隙間を埋めて田越川河口への流入土砂量を減ずることが有効である.