2021 年 77 巻 2 号 p. I_913-I_918
大阪南港野鳥園の人工塩性湿地に生育する海藻類の炭素吸収機能を明らかにするため,光合成培養実験により野鳥園に代表されるミナミアオサ,シラモ,スジアオノリの総生産速度を測定するとともに,任意の環境条件における総生産速度の推定式を作成し,野鳥園における各藻類の光合成活性度の年変動について検討した.各藻類の水温と塩分に対する総生産速度と光強度の関係を整理した結果,ミナミアオサとスジアオノリの炭素吸収活性は塩分に強く依存し,シラモは光量子に依存することが明らかとなった.また,野鳥園における平年的な水質の季節変動における各藻類の光合成活性度の経月変化を比較した結果,年間を通じてミナミアオサの吸収活性がシラモやスジアオノリよりも大きく,ミナミアオサが野鳥園の炭素吸収機能に大きく寄与していることが明らかとなった.