2022 年 78 巻 2 号 p. I_637-I_642
台湾南西部に位置するCigu Lagoonは,ブルーカーボンの主な対象となっている水草等の海生植物は多く繁茂せずカキ養殖主体のラグーンである.本研究では,Cigu Lagoonにおいて水中CO2分圧を決定づける溶存無機炭素(DIC)への影響要因を検討することを目的とした.始めに,DICに係る環境要因の影響度を把握するためにSEM解析を行った.その結果,DICは流入河川の流量により増加,植物プランクトンの光合成による減少,カキの殻形成・呼吸等による増加の影響を受けていることが示された.次にSEM解析結果を基にDICのa conceptual modelを作成し,Cigu Lagoonの年間炭素収支を推定した.その結果,カキ養殖は,ラグーン内の炭素の増加に寄与しているが,その影響は小さく,DICに影響を及ぼす主な要因は,植物プランクトンによる炭素吸収効果であると考えられた.