2011 年 67 巻 2 号 p. 75-90
本研究は,不確実な劣化過程を有する道路舗装の最適調査・補修政策を決定する方法論を提案する.道路舗装の劣化過程には多大な不確実性が存在するが,路面性状調査により調査時点における舗装の劣化状態を確定的に把握できる.道路管理者は,路面性状調査を実施することにより,調査時点において舗装の補修を実施すべきか否かに関して,より正確な情報に基づいて意思決定を行うことができる.本研究では,路面性状調査の経済便益をリアルオプション価値として評価するとともに,期待ライフサイクル費用を最小にするような最適調査間隔と補修政策を同時に決定する最適調査・補修モデルを提案する.適用事例では,高速道路の路面性状調査を対象として,本研究で提案するモデルの有効性を実証的に検証する.