2019 年 75 巻 1 号 p. 17-26
近年,我が国における自転車交通の重要性が急速に高まっているが,膨大な自転車走行空間延長に対して既往の舗装路面評価技術は適用できないか,定性的あるいは非効率的である.そこで本研究では,自転車とスマートフォンを用いた簡易な計測システムにより,自転車走行時の振動応答からカルマンフィルタを用いて高精度に路面の縦断形状を推定するアルゴリズムを開発した.提案するアルゴリズムについて,大学構内及び小金井公園サイクリングコースにおいて検証実験を行い,短波長の変状から区間の全体的な路面性状までを含む空間周波数0.02-2(1/m)の幅広い帯域について,推定されたプロファイルと手押し式路面プロファイラの測定結果との相関の寄与率は0.81以上,IRI誤差は14%以下と精度良く路面プロファイルを推定可能であることが分かった.