抄録
本研究は,被災後の居住規制により移住を余儀なくされた被災者の生活再建や地域社会の復興状況、および、それらを支援する中央・地方政府などの活動の長期的効果の把握を目的として実施した1994年フィリピン・ミンドロ地震津波災害による被害を受けた集落への現地調査の結果をまとめたものである.その結果,「Food-for-Work」と呼ばれる住宅再建手法などが効果的に作用し,政府による移住地開発は一定の成功を収めていることが分かった.ただし,さらに今後の動向には,土地所有者証明書の早期の発行や家庭をも巻き込んだ防災教育の継続が重要であることも分かった.