抄録
本論文は,ライフラインの地震被害復旧の戦略立案支援を最終的な目的に,復旧過程を模擬するマルチエージェントシミュレーション(Multi-Agent Simulation, MAS)の開発を試みる.復旧過程を離散的な資材配分問題として定式化し,この数理問題を解く数値解析手法としてMASを設計する.開発されたMASは,ライフラインの修復と利用をする技術者と使用者のエージェントから構成され,多種多様のライフラインと技術者と使用者を扱えるよう,オブジェクト指向プログラミングが活用されている.ライフラインのモデルの自動構築も組み込まれている.簡単な資材配分問題を使って開発されたMASの妥当性を検証し,ケーススタディを行いMASの潜在的有効性を議論した.