2011 年 67 巻 3 号 p. 477-492
本研究は,鋼製透過型砂防堰堤の巨礫捕捉性能を確率的に評価する手法について提案したものである.まず,捕捉性能を土石流中の巨礫が連続して到達する場合に,連続する数個によって閉塞を完成できる確率を幾何分布モデルによって評価するものと定義した.その際,巨礫によって堰堤格子が閉塞される格子形状と粒径の組み合わせの幾何的条件を定義して,対数正規分布に従う礫によって閉塞必要条件が達成される確率をモンテカルロ法により計算した.続いて,閉塞成功確率を考慮した格子閉塞確率を提案した.そのうえで,礫捕捉実験を行い,閉塞確率のパラメータ同定を行った.最後に,これらを組み合わせた閉塞確率近似式によって透過型砂防堰堤の捕捉面形状の異なる堰堤の捕捉性能や,部材欠損に伴う捕捉機能の低下について検討例を示した.