2012 年 68 巻 3 号 p. 610-622
JIS耐候性鋼材より性能を強化された新耐候性鋼材が開発されている.新耐候性鋼材の能力は合金元素の含有量に関連し,価格にも反映される.したがって,対象環境に適した耐候性鋼材の選定がライフサイクルコスト低減のために重要となる.本研究では,様々な環境下で新旧を含めた複数の耐候性鋼材暴露試験を実施し,鋼材と環境の指標として提案されているV値,Z値と腐食速度パラメータAs, Bsとの関係を調査した.その結果,腐食速度パラメータAsはV値,Z値と線形の関係にあり,BsはほぼZ値に依存することがわかり,V値,Z値から板厚減少量を推定できた.以上の知見をもとに,対象とする環境条件(Z値)と設計寿命・許容板厚減少量から推定したV値の要求値以上のV値を有する耐候性鋼材を選択する手法を提案した.