抄録
管理されたクロマツ二次林の林床植生の復元にあたり,刈り取り残渣を用いることの有効性を把握すべく,刈り取り残渣の撒き出し実験を行った。地上植生の出現種のうち刈り取り残渣から発芽した種の割合は約30%と低かったが,地上植生で開花結実が確認された種の約60%は刈り取り残渣から確認された。刈り取り残渣には,発芽個体密度は既往文献より低かったものの,多種の草原生種が含まれた。地上植生と比較して,刈り取り残渣から発芽した樹林生種の種数は顕著に少なく,林外の人為攪乱地に生育する雑草種の密度は低かった。植生復元材料として刈り取り残渣を用いる際には,草原生種,樹林生種といった種群に応じて復元地へ導入しうる種の割合が異なることを踏まえ,より多数の復元対象種を再生すべくさらに研究を進める必要がある。