2013 年 69 巻 4 号 p. I_989-I_1001
本研究では,鋼製橋脚隅角部における十字継手部の溶接脚長や溶け込み深さの分布による,延性き裂の発生・進展への影響を明らかにすることを目的とし,鋼製橋脚隅角部の十字継手内に溶接未溶着が内在する実験供試体を製作,繰り返し載荷実験を行った.また,各供試体における溶接脚長および溶け込み深さのデータを計測・整理・分析し,これらのパラメータが延性き裂発生・進展に与える影響についての検討を行った.その結果,荷重低下の要因となる最大のき裂の進展箇所に関して溶接脚長が大きく影響し,溶接脚長の小さい箇所はき裂が進展しやすく,また,溶け込み深さが小さい場合においても,溶接脚長が十分に大きければその部分でき裂は大きく進展しないという結果を得た.