2016 年 72 巻 4 号 p. I_367-I_377
東北地方太平洋沖地震に伴う津波は沿岸地域に甚大な被害をもたらした.この津波災害を教訓とし,今後危惧されている巨大津波に対し,構造設計等のハード防災だけでなく,防災教育・ハザードマップ作成などによるソフト防災も含めた両面のアプローチが進められている.津波対策を合理的に実践するためには,高精度な津波遡上解析に基づき構造・人的被害予測をすることが有効な手段の一つとなる.本研究では,3次元粒子法(SPH法)による都市域の津波遡上解析ツールを構築するため,地理情報システムより得られる建物の立体位置情報と数値標高データから,建物を含む地表面を詳細な解析モデルとして作成する一連の手順を確立した.さらにソフト防災への数値解析の有効な利活用を念頭に置き,解析結果の写実的なフォトリアリスティック可視化法を提案する.