抄録
三陸鉄道ハイペ沢橋梁は,東日本大震災の津波により,甚大な被害を受けた旧橋に代わり新設された.本橋は,橋桁と補強土橋台(GRS橋台)が結合した補強盛土一体橋梁(以下,「GRS一体橋梁」)とよばれる新構造の橋梁である.本橋は交差条件の制約により,GRS一体橋梁では初めて上部工に下路SRC構造を採用し,橋桁と橋台竪壁の接合は,鋼桁に取付けたアンカービームを竪壁に定着する方法をFEMで検討し,採用した.橋長60mはGRS一体橋梁では最長であり,橋梁の設計では橋梁本体と補強盛土を一体とした解析モデルで実施した.上部工の施工は,鋼桁の架設,コンクリート工など,構造系の変化に伴う橋梁の実挙動を把握して行われた.
本稿ではハイペ沢橋梁の設計施工で得たSRC下路構造の長スパンGRS一体橋梁に対する知見を報告する.