抄録
本研究において,ダムサイトの地震記録の分析などにより荒砥沢ダムの約23年間にわたる振動特性(固有振動数,加速度増幅率)の変化について考察した.2008年の岩手・宮城内陸地震を受けて,一時的にダム堤体の水平方向の固有振動数及び加速度増幅率は大幅に低下したが,本震の約一週間後にこれらの振動特性が地震前の状態にほぼ回復した.また,地震記録のクロススペクトル及びコヒーレンス関数分析により天端中央の地震応答に対する下方岩盤並びに両岸地山の地震動の寄与度合について考察した.ダム堤体の1次固有振動数までの低振動数範囲ではダム堤体の地震応答に対して下方岩盤の地震動の寄与が大きいこと,それ以上の振動数範囲では両岸地山の地震動の寄与は卓越する場合もあることを指摘している.