2018 年 74 巻 5 号 p. II_44-II_55
本研究は,断面欠損した鋼構造物に,CFRP部材を短工期で一体化させて補修・補強する真空含浸(VaRTM)工法の開発を目的としたものである.鋼桁端部の断面欠損部を対象に,CFRP部材による耐荷力の向上を検討した.検討モデルは,腹板高さ800mm,支間長1,700mmのI形断面桁であり,3点曲げ載荷とした.まず,断面欠損のない解析モデルを用いて,せん断座屈耐力の向上のために,ウェブパネルへのCFRPの適切な配置を解析的に検討した.次に,ウェブ,垂直補剛材の下側にテーパ状の断面欠損を与え,CFRPの設置による耐荷力の向上を実験的,解析的に検討した.その結果,CFシートの積層配置の場合,ウェブの引張側で有効であること,また,剛性の高いCFRP部材の場合,ウェブの圧縮側への配置でより合理的な補強となることが確かめられた.