2019 年 75 巻 2 号 p. 249-256
高力ボルト摩擦接合継手のすべり耐力試験において,すべりの判定は,すべった時に荷重が下がり変位が大きくなった時としている.ただし,荷重の低下がほとんどなく変位が大きくなるケースでは,近年,変位量0.2mmに達した時の荷重値をすべりと判定する場合もある.ただし,これまで摩擦面の違いによるすべり時の変位量については明確にされてこなかった.本研究は,摩擦面に応じた変位量によるすべり判断の目安値を提案することを目的に行った実験的研究である.本実験では,無機ジンクリッチペイントやブラスト等,異なる5タイプの摩擦面を有する高力ボルト継手を用いてすべり耐力試験を実施し,すべり時の変位を計測した.また,既往の研究におけるすべり時の変位量も調べた上で,摩擦面に応じた変位量によるすべり判断の目安値を提案した.