2019 年 75 巻 2 号 p. 257-265
高力六角ボルトは,架設現場で事前に予備試験を行い,トルク係数値を算出した上でその日のトルクを設定することにより,適切な導入軸力が期待できるボルト締付け方法である.ただし,実際,どの程度のトルク係数値が設定され,どの程度のばらつきがあるのかといった統計データはなく,これらを把握しておくことはボルト継手の安全性・信頼性を示す上で重要である.本報告は,橋梁で使用される高力六角ボルトのトルク係数値および機械的性質を把握することを目的とし,F10T(W) (M22)の現状調査を行ったものである.調査は,ボルト製品検査証明書,検査時の立会いで行われるトルク係数値確認試験および架設現場の予備試験のトルク係数値の結果も集計し,その現状を明確にした.さらに,製品検査証明書から機械的性質についても調査した.