2019 年 75 巻 4 号 p. I_391-I_407
柱基部にメナーゼヒンジを有するロッカー橋脚は,設計上の想定を超える変位が生じると自立性を失うことが知られており,水平・鉛直方向に対する安定性の確保が求められている.そこで本研究では,ロッカー橋脚への耐震補強方策として,柱断面外に配置したPC鋼棒を治具を介して取り付けるUBRC補強を提案し,正負交番載荷実験によりその耐震性能向上効果を検討した.その結果,PC鋼棒の引張力が実験当初の想定ほどは発揮されなかったものの,UBRC補強により抵抗モーメントが増加し,ロッカー橋脚の水平方向に対する安定性が確保された.また,正負交番載荷実験の再現解析では,PC鋼棒固定用治具の緩みをモデル化することで実験結果を再現できた.また,動的解析の検討例を示し,UBRC補強によるロッカー橋脚の倒壊挙動防止効果を確認した.