土木学会論文集A1(構造・地震工学)
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和文ノート
構造物の非線形応答に強震動継続時間が与える影響に関する統計的解析
伊津野 和行杉戸 真太
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2020 年 76 巻 2 号 p. 223-228

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抄録

 構造物の非線形応答に強震動継続時間が及ぼす影響について,数値解析的な検討を行った.強震観測網K-NETで観測された約4万の波形を,ほぼ同じ加速度応答スペクトルを持つよう修正した上で1自由度系に入力し,平均的な応答とばらつきを計算した.降伏震度0.6の完全弾塑性型骨格曲線を仮定した場合,履歴復元力特性がバイリニア型であっても剛性劣化型であっても,加速度応答スペクトルには継続時間の影響が見られなかった.一方,変位応答スペクトルには継続時間の長短によって平均的な応答に違いが見られたが,個々の波形による最大応答値が大きくばらつき,継続時間の影響が大きいとは言えなかった.ただし,履歴吸収エネルギー量は地震動の継続時間が長いほど多くなった.

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© 2020 公益社団法人 土木学会
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