2020 年 76 巻 5 号 p. II_50-II_61
本研究では,L形鋼をずれ止めに用いた鋼コンクリート合成床版の溶接継手部の疲労耐久性を実験および有限要素解析により検討した.合成床版試験体に対する静的載荷試験および解析により,L形鋼溶接部周辺では鋼板が局所的に面外変形し,特にまわし溶接部で高い応力集中が生じることを示した.また疲労試験により,コンクリートにひび割れが生じない程度の荷重を繰返し載荷することでL形鋼溶接部から疲労き裂が発生することを明らかにし,その疲労強度をホットスポット応力により安全側に評価できることを示した.さらに,合成床版を有する橋梁を対象とした解析を実施し,溶接継手部に生じる実応力挙動を求め,ホットスポット応力による疲労耐久性評価を試みた.