2021 年 77 巻 2 号 p. 287-303
本研究は,比較的短い段階の疲労き裂に対する補修方法として溶接補修に着目し,交通等による繰返し荷重作用下での溶接割れ発生条件について検討した.繰返し荷重下のスリットに対する溶接施工試験を実施し,溶接過程のルートギャップの開閉挙動を明らかにするとともに,繰返し荷重の大きさや周波数,スリットの拘束の度合いと溶接割れの発生状況を関連付けて整理した.また,熱弾塑性有限要素解析により繰返し荷重下でのスリット溶接を再現し,溶接中のルートギャップ開口変位に影響を与える因子を明らかにした.さらに,実験および解析結果に基づき,溶接前のルートギャップの開口変位と繰返し周波数,スリットの拘束度からなる繰返し荷重下での割れ発生条件式を示した.