2021 年 77 巻 5 号 p. II_9-II_24
FRPシート接着工法などの接着型FRP補強材を用いた既設コンクリート部材の補修・補強に関する研究開発は,1990年代から盛んになり,近年では,橋梁上・下部工やトンネル覆工など各種のコンクリート部材に広く利用されるようになった.FRPは,建設材料としては比較的新しい材料であり,有効に活用するためには材料,構造両面でのさらなる研究開発が必要である.本論文では,接着型FRP補強材によるコンクリート部材の補強として広く利用されている曲げ補強を中心に,FRP材料,FRPの成形法,コンクリートへの接着方法や補強した部材の性能評価について研究開発の経緯を概説する.最後にFRP接着によるコンクリート部材の補強の重要な課題である付着特性の改善について最近の研究成果を示すとともに今後の展望について述べる.