理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-49
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ポスター発表
上腕骨回旋位の違いによる棘下筋の筋厚と筋活動の関係
中村 壮大堀本 ゆかり今井 丈黒澤 和生
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キーワード: 棘下筋, 筋厚, 筋活動
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抄録
【はじめに、目的】 肩関節への理学療法では、回旋筋腱板の筋活動を評価することは重要である。しかし、棘下筋をはじめ回旋筋腱板は深部に位置するために筋活動を評価することが困難である。近年、筋厚は筋の収縮状態を表すパラメーターにもなることから、リアルタイムな深部筋の撮像を目的として低侵襲な超音波診断装置を用いた評価が用いられるようになってきている。しかし低侵襲で、理学療法士にも臨床現場で評価可能な超音波診断装置を用いた棘下筋における筋厚と表面筋電図から得られる筋活動の関係性を明らかにした報告はない。そこで本研究では、上腕骨回旋位の違いによる棘下筋の筋厚と筋活動の関係性を明らかにすることを目的とした。【方法】 対象は、肩関節に既往歴のない若年健常成人28名28肩(平均年齢20.2±0.8歳、平均身長167.3 ±9.9 cm、平均体重57.9 ±9.4 kg)とした。課題動作は、Scapular plane上肩関節外転90°、無負荷の状態での5秒間の等尺性収縮とした。課題肢位は足底接地の椅座位で、肘関節は伸展位、前腕は中間位に設定した。測定は、自動運動での上腕骨の最大外旋位および最大内旋位の2条件で行い、測定順はランダムとした。棘下筋厚の測定部位は、肩甲棘内側4分の1、肩甲棘下方30mmの部位とした。また表面筋電図の電極設置位置は、肩甲棘の下方で、棘下窩上で、僧帽筋との影響を受けない部位とした。この各条件での課題動作中、超音波診断装置(GE社製)と表面筋電図計(Noraxon社製TELEMYO G2)を用い、棘下筋における筋活動量をサンプリング周波数1,500Hzで取り込んだ。取り込まれた5秒間の波形データのうち、前後1秒間を除く3秒間について積分値を求めた。分析方法は肩関節90°外転位、上腕骨中間位での筋電図積分値を算出し、これを基準(100%)としてそれ以外の各肢位での筋電図積分値相対値(以下、相対値)を算出した。分析方法として筋厚と筋活動の関係をピアソンの積率相関係数で算出した。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には研究の主旨と方法に関しての説明を十分に行い、研究同意の撤回がいつでも可能な事を説明したうえで、研究に協力することに対する了解を得た。なお、本研究は本学大学院研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】 棘下筋厚の平均は、内旋位では19.4±0.2mm、外旋位20.1±0.2mmとなった。棘下筋の相対値は、内旋位に比べ外旋位で大きな値を示した。また筋厚と筋活動の関係の積率相関係数は内旋位でr=0.089、外旋位ではr=0.146となり有意な相関関係は認められなかった。 【考察】 本研究より、上腕骨外旋位において筋厚と筋活動が高まることが明らかとなった。棘下筋は、肩関節の外旋筋および上腕骨頭の安定化機構の役割があるといわれている。八十島らは、棘下筋は運動肢位に関わらず肩甲上腕関節の安定性を図るStabilizerとして機能するとともに原動力として運動の中心的役割を果たしていると述べている。そこで、内旋位に比べ、外旋位にて骨頭を関節窩に求心位に保持するため筋活動が増加したと考える。嶋田らによると、肩関節外旋筋の筋総量で占める割合は比較的小さく、最大努力下でも最小のトルクしか生じないと述べている。投球動作の際生じる莫大なトルクは棘下筋と小円筋の遠心性収縮で減じられる。このような収縮特性を考えると棘下筋厚と筋活動の関係性は非常に精密で一概に相関関係だけで論じることは危険であると思われる。また、Hodges らは、様々な筋活動レベルにおいて、上腕筋、上腕二頭筋、側腹筋(外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)の筋厚測定を行っており、筋活動レベルの増加により筋厚が増加することを報告している。これまで筋活動と筋厚についての報告は、抗重力筋の作用を検討したものが多い。本研究の対象筋である棘下筋の腱板機能の特徴は、肩甲上腕関節の動的安定性を支える役目であり、今後、超音波診断装置から得られる棘下筋の画像所見は、リアルタイムに動的観察が可能であり、腱板断裂など損傷等による筋萎縮や収縮性の評価としての利用が有効であると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 理学療法で提唱されている回旋筋腱板の運動として、実際の回旋筋腱板の筋活動をリアルタイムで評価検証する方法がなかった。しかし、今回の評価方法を用いることにより今後、回旋筋腱板への理学療法介入効果などの検証を行うことが可能となる。
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© 2013 日本理学療法士協会
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