2022 年 78 巻 3 号 p. 446-461
スパイクタイヤの使用禁止以降,路面に凍結防止剤を散布しているため,凍結防止剤の飛散による鋼橋の腐食事例が報告されている.しかし,凍結防止剤の散布量と鋼桁部への飛来量の関係や鋼材の腐食に関する知見は十分ではなく,冬期に乾燥・凍結頻度の高い路線の橋梁における知見があるのみである.そこで,冬期に湿潤・融解頻度の高い北陸地域と新潟県中越地域の高速道路の橋梁を対象にして,桁部への飛来塩分量の測定値から凍結防止剤由来の飛来量を分離する方法を提案した.また,凍結防止剤の散布量に対する桁部への飛来塩分量の割合を表す飛来寄与率の標準値を示した.さらに,海塩と凍結防止剤の飛来環境における飛来塩分量と鋼材の腐食の関係を定量的に調べて,この関係が海からの飛来塩分量と鋼材の腐食量の関係に類似であることを明らかにした.