2022 年 78 巻 3 号 p. 508-519
近年,防食等のため,接合面に無機ジンクリッチペイントを塗布した高力ボルト摩擦接合継手が適用されることが多くなっており,すべり係数に接合面塗膜厚さが影響することが明らかとなっている.供用中のボルト継手において,接合面塗膜厚さを非解体のまま計測できれば,現在の接合面塗膜厚さとすべり係数の規定に基づき,ボルト継手耐力を再評価できる可能性がある.さらに,接合後に塗膜厚さが変化する接触圧の大きい領域の計測も可能となれば,ボルト継手における耐荷性能のメカニズムの議論などに有益な情報となり得る可能性がある.そこで,本研究では,機械学習を援用した超音波計測手法の構築により,1枚の鋼板裏面塗膜厚さ評価の可能性を示した後,非解体でのボルト継手接合面塗膜厚さ評価を試みた.