2022 年 78 巻 4 号 p. I_592-I_600
近年鉄道盛土の耐震補強が進められており,地山補強材による盛土堤体補強が実施されている.一方,降雨に対する浸透や侵食防止を目的として盛土ではのり面工が施工されるが,のり面を被覆するものは盛土内を不飽和状態に保ち耐震性向上に寄与すること,またのり面工と地山補強材の連結によってより大きな補強効果が発揮されることが期待される.しかしながら,これらののり面工が盛土の耐震補強に果たす効果は十分には解明されていない.そこで,のり面工および地山補強材を有する盛土模型を構築し,降雨散水を行いながら系統的な振動台実験を実施した.その結果,のり面の被覆により盛土内が不飽和状態を維持することで耐震性が向上すること,ならびにのり面工と補強材の連結により張力が増加し,盛土が深いすべり面形状で変形することが確認された.