2022 年 78 巻 4 号 p. I_737-I_742
地震動位相の微分可能性に関して著者が既往の研究で行った理論的考察に対する補足を行うとともに,より直感的な説明も加えた.これにより,地震動位相はフーリエ振幅がゼロなる場合を除き円振動数で微分可能であり,群遅延時間は定義可能であることがより明確になったと考えられる.また,群遅延時間の計算における数値的不安定への対処方法として,著者が既往の研究で提案していた方法を改良した.既往の提案法は,個々の周波数に対する群遅延時間の計算を経ることなく,群遅延時間の平均値を安定的に計算できるものであったが,群遅延時間の標準偏差の計算には言及できていなかった.そこで,既往の提案法を改良し,群遅延時間の平均と標準偏差をいずれも安定的に計算できる方法を示した.