2011 年 67 巻 1 号 p. 27-40
近年,我が国では大規模な地震が頻発し,地すべり・崖崩れ・落石などの土砂崩壊災害や住宅などの建築物が倒壊するなどの甚大な被害を受けている.これらの災害発生直後には迅速かつ的確な復旧工事が必要とされるが,損傷を受けた建物の倒壊や斜面の崩壊による二次災害も懸念される.このため,地震により被災した箇所の災害復旧工事について,その危険性を明らかにするとともに,現場への安全情報を提供することが必要である.本論文では,平成16年新潟県中越地震,平成19年新潟県中越沖地震による災害復旧工事における労働災害の発生状況について調査し,地震による災害復旧工事における労働災害の特徴や,地震毎の違いを分析し,地震被害に応じた災害復旧工事による労働災害発生の可能性について検討した.