2012 年 68 巻 1 号 p. 25-34
近年,企業は災害による被害を低減するためにBCPの策定を進めつつある.しかし,BCPの策定に伴う事業の早期復旧効果が明確でないことから,未だBCPを策定していない企業も多い.そこで,本論は上場企業の開示情報を基礎データとして,東日本大震災によって上場企業が受けた被害特性と,BCPの策定に伴う事業の早期復旧効果を分析した.その結果,BCPを策定済みの企業は平均復旧期間が短い傾向を明らかにした.また,津波,液状化の被害を受けた企業の拠点は,地震動により被害を受けた企業の拠点と比較して2倍以上の復旧期間を要していることを示した.