2012 年 68 巻 2 号 p. I_138-I_145
厚生労働省の第11次労働災害防止計画において,労働災害多発業種に指定されている建設業の労働災害防止対策の一つに,発注者による安全衛生への配慮の促進が掲げられるなど,今後の建設工事の労働災害防止の推進には発注者の取組みが重要である.
本稿では,労働災害に伴い発生する発注者の法的責任,国が推進する発注者の安全配慮促進方策等を概観するとともに,全国の地方自治体の公共工事発注担当者を対象としたアンケート調査を実施し,発注者による元請業者への指導等,建設現場の安全配慮の実態,労働災害防止の担い手としての発注者の関わり方,入札段階における入札参加業者の安全評価等の実態を把握し課題の抽出を行い,これらを踏まえ今後の公共工事発注者の安全配慮のあり方等について考察を行った.