本研究は,2004年10月の新潟県中越地震による上越新幹線の脱線事象を踏まえ,大規模地震発生時においても,列車の走行安全性を確保する対策工の具体化をテーマとしている.東海道新幹線では,長期不通防止を目的とした土木構造物の耐震補強は概ね完了する段階となったが,本研究の成果を踏まえた新たな地震対策として,地震時の土木構造物の変位を抑制したうえで,列車の脱線と逸脱による被害拡大の双方を極力防止する二重系の脱線・逸脱防止対策を実施している.ここでは,対策の核となる脱線防止ガードについて,a)耐震性能の評価,b)要求性能を満たす具体的な設計仕様,c)現行の鉄道システムへの適合の3点に関する評価手法と検討結果を示す.本研究の成果は,鉄道システム全体のさらなる安全性の向上に寄与するものである.