2014 年 70 巻 2 号 p. I_93-I_98
近年,日本を含め世界各地において,気候変動によると考えられる激甚な洪水被害が多発している.このような洪水被害により,人命・資産が失われることが度々ある.その折,たとえ人命が救われたとしても,怪我を負った人々の治療に当たる医療機関などが,洪水被害により致命的なダメージを被ることは,罹災した人々の生への意欲を失わせる原因となる.本報告では,洪水による医療機関の罹災の可能性に注目し,その被災リスクをアンケートおよび過去に洪水被害を経験した医療機関にヒアリングを実施することによってその実情を明らかにした.そして,医療機関の洪水に対する減災対策に関して考察を行った.