抄録
大阪湾沿いを走る鉄道のうち,南海トラフ地震で大きな被害が出ると予想される南海電鉄の本線と支線(高師浜線)を対象に将来の大規模広域災害発生時に備えた「安全あんしんマップ」の作成を試みた.まず,現地踏査によって,安全あんしんマップの対象とする地域を選定し,安全あんしんマップに記載するコンテンツのスクリーニングを行うための事前アンケートを実施した.その結果を踏まえ,地理情報システムを用いて「安全あんしんマップ」を作成した.これを同対象地域に再配布するとともに事後アンケートによって,改善事項を抽出した.作成された「安全あんしんマップ」は,読みやすさや情報の充実度について課題を残しているものの,大規模広域災害の発生時には携帯電話やスマートフォンが使えない可能性も高く,紙媒体でのこうした情報提供ツールの必要性は依然と高いことが明らかにされた.