抄録
本研究は東京圏を対象に,大震災が発生した場合の鉄道代替バスの輸送に関する検討を行ったものである.1995年1月に発生した阪神・淡路大震災では鉄道施設が甚大な被害を受けたため,発災1週間後から160日間にわたりバスによる代替輸送が実施され,一定の通勤・通学等の需要に応えた.東京圏の場合,鉄道の輸送需要が高く代替輸送も大規模とならざるを得ないことから,平常時から大量のバスの調達方法,バスの発着場や操車場(一時的な車庫)の候補地の選定,提供可能な輸送力の把握等を行っておく必要がある.本研究では東京圏を対象に,鉄道代替バスの操車場の候補となり得る施設を抽出した上で,ケーススタディとして,複数の区間を対象に代替バスを運行した場合の輸送力を試算するとともに,輸送力に及ぼす影響要因について感度分析を行った.