2015 年 2015 巻 62 号 p. 110-115
水田においてヒメトビウンカの発生消長を簡易に調査するため,黄色粘着トラップの設置条件を検討した。その結果,設置する粘着板の上辺の高さをイネの移植直後は40cmに,その後は生育に合わせて草冠高より20cm程度低くなるよう調節することが適切であると考えられた。水田内におけるトラップの設置位置については,畦畔からの距離により誘殺数に大きな差は認められず,畦畔から1~20mの範囲で発生消長の調査に必要な個体数が誘殺されると考えられた。また,このような条件で水田内に設置した黄色粘着トラップにおける誘殺消長は,捕虫網でのすくい取りにおける捕獲消長とほぼ同様であり,有効積算温度による発生ピーク予測日とも概ね一致したことから,本手法は水田におけるヒメトビウンカの発生消長の把握に利用できると考えられた。特に,本種の本田への飛び込み時期にあたる6月において,本手法による誘殺数はすくい取り法による捕獲数よりも多かったことから,本手法は水田への侵入時期の把握に有効であると考えられた。