2015 年 71 巻 2 号 p. I_89-I_96
リスクアセスメント教育は,公共機関をはじめ多くの企業で実施されている.一方,厚生労働省の統計によれば,総合工事業において「災害が発生していないため」,「法令を守っていれば十分なため」にリスクアセスメントを実施しても意味がないと考える傾向が2005年(平成17年)から2013年(平成25年)にかけて(調査は前年に実施)増加傾向にあることが分かった.リスクアセスメントは,危険個所や危険作業を特定するとともに,その危険性の度合いと災害発生の可能性を数値化し評価することで改善の優先度を定め,見える化を行い,関係者全員がリスク低減に関して考える機会を持つことができる有効な対策であると考えられる.そこで,リスクアセスメント教育の質を向上させるためにどのような対策を実施すれば良いか2011年から2014年にかけて実務を通して検討した.特に,各部所のリスクアセスメント推進員は重要な役割を果たしている.