2016 年 72 巻 2 号 p. I_65-I_70
平成23年東日本大震災,平成28年熊本地震をはじめ,想定を超える被害の災害が多発している.近年,想定を超える被害の災害への対応可能な安全確保の新しい手法として「レジリエンスエンジニアリング」が注目されている.レジリエンスエンジニアリングでは,レジリエントな対応には4能力「対処能力」,「注意能力」,「学習能力」,「予見能力」が必要であると定義しており,その効果を測るために定量的な評価が重要となる.しかし,レジリエントな対応(行動)の定義が難しく,定量的な評価方法の確立は困難である.そこで本研究では,避難行動を可視化できる参加型避難シミュレーションを活用して,レジリエントな対応(行動)を再現し,定量的な評価を試みる.具体的には,オフィスフロアを対象に,レジリエントな対応の4能力(対処・注意・学習・予見)を備えた災害時の人間の避難行動を想定し,避難完了時間等を指標として,レジリエントな対応の定量的な評価方法を検討する.本研究では,限定的な環境での評価を実施することができたが,今後レジリエントな対応の定義の確立が課題である.