2019 年 75 巻 2 号 p. I_237-I_246
大規模災害時における避難所運営の目的の一つは,避難住民の物理的及び精神的なダメージをできるだけ小さくし,早い時期に生活再建を可能にすることである.しかし熊本地震では様々な想定外の事態が発生し,行政並びに住民の対応が遅れ,後の復旧・復興に支障をきたした.本研究では,今回の地震で避難所運営の障害となった事項を,これまで実施されているアンケート調査や内閣府の報告から分析し,支障となったボトルネックの洗い出し,レジリエンスエンジニアリングの観点から想定外災害時の避難所運営の課題として 事前に備えるべき”頑健性“や“冗長性”等の4特性,事中や事後に発揮すべき“対処能力”や“予見能力”等のレジリエンス4能力に関して課題と対策を示した.さらに,避難所施設の頑健性,地域内での技能者の把握と避難所運営分担リストの作成等の効果的な避難所運営に関する提案を行った.