2020 年 76 巻 2 号 p. I_141-I_154
本研究は,現在設定されているタイムライン防災の課題を探るために,住民の防災意識をアンケートから評価し,住民の日頃の取り組みや災害発生過程における住民の視点の遷移をワークショップから明確にした.タイムライン防災と日常の防災の意識との差異を評価し,ソフト対策の実践を通して,有効なタイムライン防災が機能するために必要なツールを検討した.なお,そのためには住民の関心のない小規模の内水氾濫や土砂崩れなどの状況も踏まえて,数値解析等の水文・水理学的な観点からの基礎検討も実施した.本論文は,住民の活動がタイムライン防災と結びつき,そのために日頃どのようなことが必要なのかについて検討した結果を報告する.生活防災タイムラインの構築とそれを利用した散歩,料理教室のイベントを通して,タイムラインの認知や利用頻度が向上することを示した.