2020 年 76 巻 2 号 p. I_175-I_183
名鉄百貨店(名古屋市)が入居する名鉄ビルは,その地下1階と2階に名鉄名古屋駅を有し,地下1階で地下鉄東山線南改札およびサンロード地下街とゲートウオーク地下街,さらには近鉄名古屋駅地下改札と接続しており,名鉄ビルとこれら周辺施設間で多数の来街者が往来する人流ネットワークが形成されている.テロ予告などセキュリティ上の理由により全館一斉避難が必要になった場合を想定したシミュレーションを行った.避難者は歩道を使い近隣4か所の屋外避難先を目指して移動するが,大量の人流が避難路としての歩道を移動することにより,歩道での滞留が全館避難時間に影響を及ぼすことがわかった.歩道でのボトルネックを改善することにより,避難時間を17%ほど短縮できることをシミュレーションにより確認した.